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4.5 循環指数と月平均波高偏差

月平均波高偏差と循環指数との相関解析結果を巻末資料12,13に示す。資料12は全球の波高偏差(計算値)と循環指数との相関分布図、資料13は日本沿岸の波高偏差(観測値)と循環指数との相関解析結果(表)である。
資料13によると、一般に、日本沿岸の波高偏差と各循環指数との相関係数は小さい。しかし、季節別では(特に冬季に)波高偏差と循環指数との相関関係が成り立つ地点がある。これらの沿岸では循環指数を波浪の長期予測パラメータとして使用できる可能性がある。
資料12から相関係数の高い(0.6以上)領域をまとめて表4.6に示す。これらによると、大気大循環と全球の波浪に関連があることが明らかになる。
それぞれの循環指数と循環指数を定義した領域の波高偏差とに、一般に負の相関があることが確かめられた(資料13、表4.6)。特に春季の循環指数にこの傾向が特徴的に示された(例えば、春季のNH−ZI,R2−ZI,EASTSEA,OGASAWARA)。
NH−ZIを一例にとると、春季に北太平洋中緯度の波高偏差と負の相関がある。NH−ZIは北緯40度と60度の平均偏差の差を意味するパラメータであるので、この値が大きいことはこの緯度間の気圧勾配偏差が大きい、つまり、平年より東西流が強い、偏西風波動の振幅が小さいことを意味する。この場合、気象擾乱は大きく発達しないので、波高偏差が負、つまり平年より波高が低いことは合理的な結果を示すものである。
NH−PVは大西洋高緯度海域の波高偏差と負の相関を有する(表4.6)。これは北半球の極渦が発達する時(循環指数が負になる時)にこの海域の波高が高くなることを示す。
循環指数NH−ZI,R2−ZI,EASTSEAおよびOGASAWARAは、冬季に太平洋低緯度(北緯3〜18度、東経120〜170度)の波高偏差と正の高い相関を有する。この気象学的解釈は今後の課題である。

 

 

 

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